第48章

山田澪は自分の空っぽのスーツケースを見つめていた。中には下着が二枚だけ残っている。

彼女は口元を引きつらせ、黙ることを選んだ。

彼女は知らなかったが、その手に持っている数枚の服は、あの家の頭金を払うのに十分な価値があった。

山田澪は今、服のことを気にする気分ではなかった。彼女がもっと心配しているのは、自分のお腹の中の子供だった。

人々が去った後、山田澪は体を支えながら医者を探しに行った。

このコミュニティの病院は大きくなく、診療所といったところで、二階建ての建物だった。一階は外来診療、二階は点滴や入院用の部屋だった。

医者は五人しかおらず、交代で勤務していた。

彼女は外来診療の...

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